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ファシリテーション

ひと昔前の話ですが、神奈川県で8名の小学5年生と理科の授業をした時のことをたまに思い出します。

それまでは「月」についていろいろと学習していたので、その日は太陽、地球、月の位置関係と月の満ち欠けがどのように見えるかという図を黒板に書いて、子どもたちに次の疑問を投げかけました。 「月の表面温度は最高で約120℃、最低で-200℃くらいだそうです。僕たちの住んでいる場所と比べてみるとこんなに差が大きい理由は何だろうね?」

それから結論を導き出すまでの30分間は、小さな科学者たちの対話の場でした。 「黒板使いたい! チョーク貸して!」 「それって、〇〇だからじゃない?」 「でも、そう考えると△△だよね?」 使っている言葉はまぎれもなく子どもの話し方なのですが、知識を総動員してあれこれ話し合うその光景はまさに科学者がおこなっている議論そのもの。 彼らが出した結論はすべてが正解というわけではありませんでしたが、NASAに報告したくなるほどのすばらしい内容でした。

20年という歳月が経っても色あせることのない授業風景の思い出によって、「ファシリテーション」の重要性を再認識させられます。 ファシリテーションとはいろいろな定義がありますが、ひと言で簡単に言うと「教えない人」です。 「講師」=「教える人」のイメージが強いかもしれませんが、「教えるだけ」の授業は子どもの「考えようとする意欲」を奪ってしまいます。 講師が全ての事に答えてしまうと、子どもたちは「何でも知っている大人」に頼ってしまいます。 これでは余計に考えようとしなくなるだけでなく、物事に対する興味・関心が薄れていってしまいます。 ある程度知識が備わっている場合、子どもたちには「考えるきっかけ」を与えるだけで、あとはグッと我慢してファリシテーションに徹します。 この場合、正解や間違いの判断をするのは子どもたち自身です。 ファシリテーターは子どもの考えを尊重し、出てきた意見をみんなに共有します。 その時につじつまが合わないと彼らが感じたら、それを自分たちで話し合って修正するといった論理的思考力を養う学習を提供することができます。

「勉強はキライだけど、考えるのはメッチャ楽しいね!」 そう言っていた彼らは、どんな大人に成長しているのでしょう? ここで関わっている子どもたちにもいろいろな「考える」を体験してほしいと感じています。

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