なぜ算数の文章問題が苦手な子は式がデタラメになってしまうのか?
それは、子どもに「数式=言語」という認識がないからです。
日本語、英語、フランス語、中国語…。
世界中には多くの種類の言葉が存在しますが、母国語以外の言葉でコミュニケーションがとれるようになるには大変な苦労がつきものですよね。
ところが数式は世界共通で、しかもお互いが話せなくても通じてしまう便利なツールです。
ありとあらゆる種類の言葉で文章化された同一問題も、数式にすればみんなが理解することができます。
つまり、日本語を英語に訳すのと同じように、「算数で式を作るためには言葉を計算記号に変換する力が必要」ということになりますね。
「数式=言語」の意識を高めていくことは、日本語(国語)の学習にも深いつながりがあると言えるでしょう。
数式に対する意識を高める方法とは?
まず、問題中のどの言葉が計算の記号(+、-、×、÷、=)を意味するのかを「知る」ことからはじめましょう。
文章問題に登場する「もらう」、「あげる」、「来る」、「帰る」、「○○ずつ買う」、「○○ずつ分ける」、「みんなで」、「ぜんぶで」、「あわせて」、「等しい」など、これらすべての言葉は計算の記号を選択するための大きな手がかりです。
問題を読んで式が浮かばないときは、一つ一つの言葉がどの計算記号に当てはまるのかを教えることが第一歩です。
そして、文章中から計算記号と同様の意味を持つ言葉に自分で印をつけることができるようになると「わかる!」につながります。
本当に理解しているか確かめる方法とは?
そもそも、小学校で学ぶ文章問題は、低学年であればあるほど和・差・積・商のいずれかで答えが出せてしまいます。
ですから、足し算の単元ではどんな文章問題でも出てきた数字を足してしまえばほとんど正解になるケース、心当たりがありませんか?
そこで、お子さんが本当に文章を理解して式を作ることができているかを確かめる方法として、「質問する」が効果的です。
質問①「この式の○○(計算記号)にあてはまる言葉ってどれ?」
この質問に対して、「もらう」、「○○ずつ買う」「ぜんぶで」など、単語や短い文節で答えられたら最高です!
質問②として、「理由を聞く」も効果的です。
「式がこうなった理由を教えて。」
これは質問①よりも難易度が上がります。
説明が下手でも構いません。お子さんがわかっているようでしたら最後までじっと待って聞いてあげてください。
説明を聞いた後で、
「○○だからこうなったんだね。」
と、「ちゃんと伝わったよ」をお子さんに返すことも大切です。
お子さんの自尊感情が高まり、やる気につながっていきます。
理由と一緒に答える習慣は表現力の向上にもつながります。
算数といえども文章問題は言葉の学習。
そんな気持ちで取り組めるようになってほしいと思います。